2011年4月アーカイブ

複数の金融会社から借り入れをして、返済ができなくなったり、生活が苦しくなる「多重債務」に苦しむ人が増えています。この問題の対策を検討するため、内閣に「多重債務者対策本部」が設置されています。そして対策本部では、平成19年に「多重債務問題改善プログラム」をとりまとめました。多重債務者は200 万人超と指摘し、これに対する様々な対策を打ち出しています。国、自治体及び関係団体の総合的な取り組みにより、問題を解決しようとするものです。

具体的には、相談窓口の整備・強化があげられます。地方自治体には、生活保護の担当部署や消費者センターなど、借金に関連する相談が数多くされています。これに対して、弁護士や司法書士等適切な専門家にスムーズに橋渡しをすることが重要となります。

また、改正貸金業法の総量規制により、借金ができなくなる人が増えたときに、消費者向けのセーフティネット貸付け、たとえば社会福祉協議会による生活福祉資金貸付のような、公的な貸付を充実させるということも必要です。多重債務問題の解決に役に立つ場合に限って、低い金利での貸し付けを行うということも、生活再建の役に立ちます。

さらに、借入ができなくなる人が増えたときに、普通の消費者金融から借入ができないからということで、ヤミ金から借入をするようなことが増えては本末転倒です。これを防ぐためにも、警察や監督当局は、ヤミ金の撲滅に向けて取締り、摘発を強化します。以前であれば、民事不介入という原則により、警察はヤミ金問題への介入に消極的でした。これを改め、被害相談を受けた警察は、電話等によるヤミ金への警告等を積極的に行うということになりました。

このようなプログラムに基づく対策が充実される一方、貸金業者は総量規制と過払い金返還の増加により、経営破綻する例もあります。当初、現在のような貸金業者の窮状は予測されていなかったと思われます。
多重債務問題改善プログラム

過払い金の返還を請求した場合、利息も含めて全額が支払われることは少なく、一部返還額を減額したうえで和解するという方法が一般的です。今回は、この「減額和解」の意味について考えてみたいと思います。

なぜ、過払い金を減額して和解することが多いのでしょうか。

最近では、ライフの民事再生やアエルや武富士の会社更生法のように、大手サラ金、信販会社の事実上の倒産ということが珍しくなくなってきたため、倒産されて回収がほとんどゼロになるぐらいなら、一部でも早期に回収するために減額するということがあるかもしれません。

しかし、サラ金や信販会社が倒産して、そのことが大きなニュースとなってよく知られるようになったのは最近のことであり、少し前まではそのようなことはあまり一般的ではありませんでした。その頃から、減額して和解するということはよく行われていました。これはなぜでしょうか。

これは、和解というものが、双方の言い分を双方が理解して、お互いに妥協点をみつけることで円満に解決するという性質のものであるためです。つまり、過払い金返還請求の被告である貸金業者等にも法的には言い分があり、たとえば取引が途中で一旦完済されている場合の計算方法や、民法704条の悪意の利息を付けるかどうか、そもそもみなし弁済が成立して過払い金が発生していないなど、さまざまな主張があります。この状態で和解をするのですから、お互いに歩み寄るということであれば、やはり多少減額するということになります。

もちろん、お互いに歩み寄るとはいいながら、判決になった場合にどのような結果になるのか、原告の完全勝訴となる可能性が高いのか、それとも訴額の半分程度しか認められない可能性が高いのか、その点をにらんでの和解交渉になりますので、もし裁判官が、ぽろっと「原告のこの主張はちょっと無理があるかな・・・」などと言ったりすると、このまま進んでも敗訴する可能性が高いわけですから、原告としては、かなり譲歩して和解することが多いということになります。

ちなみに、サラ金であっても、完済時に払いすぎがあった場合の過入金の返金については、全額がすぐに返還されます。これは、何ら双方に争いがない状態での返金ですから、過払い金とは性質が違いますので、対応も異なるのです。

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